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秋元康が語るAKB48「なんだ、これは!!で

秋元康が語るAKB48「なんだ、これは!!で


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紅白歌合戦のステージで熱唱するAKB48

【秋元康が語るAKB48への思い】(下)
 東京・秋葉原の劇場発のアイドルグループ、AKB48は昨年、米ニューヨークや仏パリなど海外公演を成功させた。プロデューサーの秋元康さんのインタビューは、これから国内外でさらにどう売り込んでいくかにも及んだ。
 ――AKB48は将来、世界にどう打って出る
 いきなり世界というのは無理でしょう。確かにイタリアなど、海外からもAKB48のようなものをやりたいという話はくるけれど…。「クイズ$ミリオネア」のように、確実にまずこんな問題があって、こんな仕掛けがあって、というのとは違い、AKB48はどこまでの範囲が海外でも受け入れられるフォーマットなのかははっきりしない。
 それにAKB48はすごくお金もかかっています。毎日、あれだけ多くのスタッフが動いているわけですから。先行投資しているんです。それをできるスポンサーが現れ、たとえば米ニューヨークにぼくが劇場を作って、毎日16人のメンバーを集めて公演をやらせてくれるとなれば、当てる自信はあります。
 でも、ニューヨークやパリとなっても、初めのうちはすべてが先行投資。それをきちんと理解でき、ビジネスとしてやっていけるスポンサーは実際にはなかなかいません。
 ――この日本だからこそ、AKB48は受け入れられているのか
 いや、海外でもウケると思います。これまでいろんなアーティストが米国に進出しましたが、米国に勝とうと思うから勝てなかった。ブリトニー・スピアーズのようになりたいと思えば思うほど、勝てなかった。ブリトニー・スピアーズは米国に既にいるわけですから。
 だけど、AKB48は違う。観客は一流のアーティストといえば歌やダンスがうまいと思うわけですが、AKB48はそうではない。でもニューヨークのウェブスター・ホールで昨年、公演したときに、観客の皆が「なんだ、これは」と驚いた。その「なんだ、これは」が実は大事なんです。
 これまでだと、納豆を米国で売ろうとすれば納豆にチーズを入れるとか、アメリカナイズしていた。でもAKB48はそんな納豆のまま。ぼくはメンバーの女の子の勢いがすごくて、チャーミングで見たことがないというだけで観客には十分だったと思うし、それが売り出すのにも一番いい。それをやり続ければ当たります。
 ――海外の反響は
 海外ではインターネット上でAKB48を知る確率が高く、その公演を配信したいといった声はたくさんあります。反響はある。かつてまだブレークしていないときに北京に行ったときに、東京に一度も来たことがない学生が、ネットを通じて知っていたのを聞いたときには驚きました。やはりAKB48はネットアイドルなんですよね。
 ――いざ、海外に出るとなれば何が勝機になる
 AKB48とは何なのかというフォーマットが分からないところが勝機だと思っています。何だか分からないというのが、最大のコンテンツになる。
 これまでだと、たとえばブルーマン。何だそれは!!となったから面白いんです。AKB48も「何だ、これは!!」ってなるから、これは勝てるっ、と思うんです。ただ、それには時間が必要です。
 ――AKB48が世界でも勝つために何ができる
 放っていて、ネットで広がるのを待つんです。コンテンツというのは童話の北風と太陽と同じで、ぼくたちがいくら売り込もうとも、海外の相手がほしいと言わなければならない。ぼくらは十分に種をまいているから、そのうち向こうから「こういう形でやらせてくれ」というのを待つしかありません。
 ――今は飛ぶ鳥を落とす勢いのあるAKB48だが、今後、それ以上のアイドルが生まれる可能性は
 それはあるでしょう。まさか、そんなことをやるとは!!という思いがけないところがあって生まれることはある。ただ、AKB48のまねをしているようでは絶対に無理だと思います。
 ――今後の露出方法は
 宝塚歌劇団のように、淡々と幅を広げていきたい。今は歌手や女優、タレントになりたい子たちがAKB48には集まっていますが、ぼくはその中から、作詞家や作曲家、漫画家、小説家が生まれたらいいと願っています。夢を持った子がこれからもAKB48に入ってきて、自分の夢をかなえてほしいと思っている。
 野球部などではとにかく走り、足腰を鍛えますが、AKBではそれが歌であったり、踊ること。だから、小説を書きたいメンバーであっても、まずは歌って踊る。そうすることで、根性やマナー、礼儀や先輩後輩の関係を学ぶんです。
 ぼくは教育に興味があります。今の日本の若い子たちは夢がないからダメといわれますが、AKB48に入ってきた子たちには夢がある。だからこそ、どんどん礼儀正しくなるし、人の気持ちも分かるようになってきている。メンバーの親御さんからも、「うちの子がこんなにまじめにレッスンに通うとは思わなかった」といわれます。
 本当ならば、文化庁や文科省などの支援もあればと思うんです。それによって、そんな若い子たちの夢がかなえられる場所になればなと思います。
 ――今の若い子が夢を持てるようになるには
 AKB48の彼女たちのように、まずは一歩を踏み出すこと。やりたいことが何なのかは分からなくてもいいんです。受験勉強を真剣にやるのもいいし、修行に出るのもいい。とにかく何かをやれば、「これじゃないなあ」といったことが初めてそこで分かる。
 これだけ選択肢の多い今の世の中で一つを選ぶのは大変だけど、片っ端からやってみればいい。途中でやめてもおかしくはないと思います。昔みたいに何か始めたらやり通せ、というのはない。人生はあっという間ですから…。自分は違うなと思ったらやり直して、また次の場所で全力で走ればいいんです。
 AKB48のメンバーが偉いのは、秋葉原でアイドルを募集したとき、秋元康という名前と振付師の夏まゆみという手がかりだけで、とりあえず応募してみようと一歩を踏み出したこと。その「やってみよう」という意志が、今の子たちには残念ながら欠けていると思います。
 ――AKB48にはSDN(サタデーナイト)などの姉妹グループがあるが、今後、若い子を育てる場所はどこまで増えるのか
 今、その準備をしています。大阪と福岡でやろうとしていますが、大変。何かを始めるにも、打ち上げ花火をドンと打ち上げるだけで終わるわけにはいかない。まず、アイドルを募集し、オーディションを重ね、どうマネジメントするか。AKB48のお古を使い回すわけにもいきません。
 今は東京でSDNも入れると4チーム、名古屋・栄地区でのSKEも入れると5チームで回っていますが、ぼくの理想は全国の7大都市にAKB48のようなグループがあること。そんな夢のある場所の熱気に若い子たちに触れてもらえたらって思います。
 夢があれば、何かができます。突然、「今からそちらのオーディションに行きたいんです」といった電話をかけてみたりと、夢の一歩を踏み出そうとする若い子たちがすぐにまたげるような、一番低い敷居を作ってあげられたらと思っています。
 ――そんな夢の場所を全国に作る可能性はどれほどあるのか
 今年は大阪か福岡かどこかで1つか2つオープンしたい。まずは“実”を上げたいと思っています。3~5年後には全国7大都市すべてに、という構想があります。
 将来的には各地の劇場のエースを1人ずつ選抜し、JAPAN48というのをやりたいのですが、でも、それは今はまだ絵に描いたもち。結果的にそうなればいいと思っています。JAPAN48ができるころには、ソウル48やパリ48、ニューヨーク48があって、世界の48ができているかもしれません。
 でもそれ以前に、今はAKB48の人気が今以上に高まり、メンバー一人ひとりの夢がかなえばいいと考えています。今は、いつも1日で250人は入れる劇場に、毎日何人の応募があるのだろうかが気になります。その応募数が落ちない限りは、AKB48は存続すると思っています。
 ――今年はどんな年にしたい
 できるだけメンバー全員にチャンスをあげたいです。マラソンと同じで、メディアで取り上げるのは先頭集団になりがちですが、その先頭集団が売れないと、AKB48は世の中に広がらない。
 今は100人の大所帯ですが、AKB48がメジャーになるほど、先頭集団だけでは仕事をこなせません。最終ランナーまでなんとかしてあげたい。野球では九回裏二死で、監督の思いもあり、3年生がバッターボックスに立つことがありますが、それに近い感じです。
 ――その一つのきっかけが、8日にテレビ東京で始まったドラマ「マジすか学園」だと思うが
 あの番組は、アイドルならヤンキーはやらないだろうというところから発想し、やってみることになりました。ぼくの中では、アイドルは何でもありです。メンバーも総出演します。
 AKB48はメンバーの成長のプロセスが見られるシミュレーションゲームのようなところがあり、ファンの皆さんがプロデューサー。その一人一人が面白がってくれるサプライズを、いかに提供できるかを考えています。
 チームのシャッフルをやったり、「マジすか学園」でヤンキーものをやってみたり。その時々で手を変え品を変えてやってきました。前田敦子がNHK大河ドラマに出演したり、篠田麻里子がコマーシャルに出たり。すそ野もどんどん、広がっていってくれたらと思います。
 ――つんく♂さんの手がけるアイドルグループなどとタイアップすることは
 ぼくはやりたいと思っていますが、それぞれの城があり、方針がある。なかなか難しいでしょうねえ。
 ――メンバーのソロ化については
 何も考えていません。ぼくはそのときにベストだと判断し、面白いと思ったことを今後もやり続けていくだけです。

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